昨日


大好きな患者さん、Gさんがお亡くなりになられました。

去年年末に、食べ物が通りにくいと外来受診され、胃カメラの結果、進行胃がんでした。

すでに胃の出口はかなり狭窄しており水分が通るのがやっとの状態。

息子さんとの同居をされていましたが、息子さんはなかなか病院に来れないと言う事で、本人のみに告知をしました。

病名告知をするまではしっかりされていたGさんでしたが、みるみる認知症症状がひどくなり、次は必ず息子さんと来てと言っても毎日自分一人で来てしまう。

息子さんの電話番号を教えてと言っても、今調べてくる。と言ったきり数日経ってしまったり。

ご家族に繋がるまで時間がかかりました。

オペ適応でしたが、認知症が強い場合ウチでは管理しきれない。と近くの総合病院へ転院しましたが、精密検査の結果、腹膜播種あり。とのことで、オペはせず戻ってこられました。

数日はお家での生活をされていましたが、日中お家には1人だということもあり、本人の不安が強く入院することになりました。

告知された時とは違い、穏やかで謙虚で優しいおじいさん。

辛いながらもいつも笑顔を見せてくださいました。

狭窄部にステントを留置し、少しの間でしたが食事も取れました。

が。嘔吐、吐血、誤嚥。

肺炎のためお亡くなりになられました。



お亡くなりになられることはけして避けられない事。

じゃあ、その時に私たちは何が出来るのか。ですよね。


私はいつも家族を呼ぶタイミングに悩んでしまいます。

一度この事で院長に叱られてからかな。

今呼んで、ご家族に仕事抜け出して慌てて来てもらっても、復活して長くなるかもしれない。

そんな事を考えてしまいます。

でも今回は即電話していました。

亡くなる前の日、spo2が70-80台。血圧80台。意識レベルクリア。

vsがこの状態でレベルクリアで居られる時間てどのくらいやろ。

って思ったらお話出来るのは今が最後かもしれない!って思い、

そのままを伝えました。

息子さんは職場からかけつけ、たまたま静岡からお見舞いに来られることになっていた娘さんもこられ、お話が出来ました。

次の日の午前中、ご自身の弟さんにも会え話ができ、その日の午後ご家族に看取られ天国に旅立たれました。


お見送りの時涙が出ました。

でも、すごくすごく良い亡くなり方だったと思います。

癌末期でしたが、デュロテップで疼痛コントロールでき、spo2が下がりながらも呼吸苦はほとんどなく、呼吸苦を感じる前に意識が遠のきそれから数時間で亡くなれた。

なんかうまく言えないけど、苦しまずに、長引かずに。

良かった。亡くなって、良かった。っておかしいけど、結果が同じなら。


そう。

亡くなられる前日お話していた時、時々もうろうとされている時があり、その時に

「これからどこに行く?このまま火葬場に行くのかな?」

と言われドキッ!!としました。

「Gさん!何言ってるんですか!気をしっかりもって!今は辛いけど元気になろうね!」なんて言っていた私。

「そうだね、また元気にならないとね」

全てを悟った彼の優しさだったのかな。って今となったら思います。



嘔吐続きで辛い時から抜け少し元気になったときの笑顔。

「先生食事はいつからでしょうか?」と遠慮しながらも素直に先生に伝える所。

少し運動する!と廊下を歩こうと準備運動していた時、パジャマのお尻の部分穴空いてた所。

すっごく可愛い方で、元気をたくさん頂きました。

ありがとうございました!


天国で奥さんに会えますように。

天国で美味しいものたくさん食べて幸せになりますように!